名古屋地方裁判所 昭和63年(ワ)1578号 判決 1988年9月29日
原告
伊藤那美子
右訴訟代理人弁護士
山本秀師
被告
伊藤文一郎
主文
一 本件訴えを却下する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 別紙物件目録記載の不動産について競売を命じ、その売得金を原告及び被告に各二分の一の割合で分割する。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 原告と被告は、昭和三五年四月二八日婚姻し、昭和五三年五月二六日離婚したものであるが、婚姻中に別紙物件目録記載の土地及び建物(以下「本件不動産」という。)の所有権を取得し、持分各二分の一の割合でこれを共有するに至った。
2 原告と被告間においては本件不動産の分割につき協議が調わない。
3 本件不動産は一体として使用されている上、その形状にも照らすと、現物をもって分割することは不可能である。
よって、原告は、民法二五八条二項に基づき、本件不動産の分割を求める。
二 請求原因に対する認否
1 請求原因1、2の事実はいずれも認める。
2 同3の事実は否認する。
三 抗弁
被告は、昭和五三年五月二六日、財産分与により、本件不動産についての原告の共有持分全部を取得した。
四 抗弁に対する認否
否認する。
理由
職権をもって調査するに、およそ共有物分割の訴えにおける訴額は、分割の対象となる物の価額に対する原告の共有持分の割合額であると解すべきであるので、本件における訴額は、本件不動産価額の二分の一である三二八万八二二三円であり、したがって、本件訴状に貼付すべき収入印紙額は二万四六〇〇円であるところ、本件訴状には九三〇〇円の収入印紙の貼付があるのみである。
そこで、当裁判所は、原告に対し、期間を定めて不足分の収入印紙の追貼を命じたが、原告はこれに応じない。
してみれば、本件訴えは、不適法にしてその欠缺は補正しえないものというべきであるので、これを却下することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官伊藤邦晴)
別紙物件目録<省略>